夢か現か小江戸の灯り [シンガー]
本当に楽しい一日でした。いいえ偶然が成せる業では無かった気がします。あの方の感性は流石、大空を超えて、すべてお見通しのようでした。その甲斐あって、今日の私、たゆとう時間がながれていました。
何という事もないのです。飛び切り嬉しそうな様子もなかったけれど、話す言葉もその仕草も今までにない、素の姿に見えました。いいえ、そう思いたかったのは私だけだったかもしれません。街の灯りも何故かいつもの其れとは違い、暖かくて、優しくて…。以前歩いた頃は浅い春の事。喜多院の桜が綺麗でしてね。また或る時は粉雪が舞う夜、武蔵野の庭に面した長い廊下で、貴方は佇んでおられましたね。遠い昔になりました。
人は一日一日をどこに向かって歩いているのでしょうか。かつての私はいつもその道を迷ってしまい、堂々巡りばかり、気がつけば、私はいつの間にか独りぼっち。あれからもう17年近い歳月が流れました。いまはこの街で暮らして居る私ですが、街の灯があんなにめらめらと、まるで恋する乙女のように燃えるのを観たことはありません。
美しく灯した街のあかりもあれば、危ういほどに燃え盛るの薪能の夕べ、懐かしくもあり、悔い多き夕べでもありました。燃え盛る炎のように私の心にも燃え盛る何かがあった筈。遠い日の思い出は一生涯、忘れられないものです。いま冥途への道を、足早に歩き続ける私。この道の向こうにある世界は、この間の街の灯りのように、心華やぐものなのか、それともあの篝火のように、燃え盛ったかと思えば、風のまにまに炎が揺らめくような、危うい処なのでしょうか。でも私、また一つ、いい思い出を残せて幸せです。
翌日の事、川越駅で素晴らしい夕日に遭遇しました。眩いほどの夕日、すべてのパワーを受けて、私は確信したのでした。来年は「きっといい年になるのね」と。
少し早いですが良いお年を!
by U3 (2021-12-26 18:56)
U3さまもどうぞ良いお年をお迎えくださいませ
by marine (2021-12-27 00:04)