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花と雷鳴 [黄昏は麗しく]

静寂が街を甦らしている。夜のとばりに少しだけカーテンをずらし、庭を眺める私。手には金色の懐中電灯。先が、見えないほどの暗闇の中、目を凝らせて、懐中電灯を点ける。夜目にも美しい白い花。平戸ツツジは今の私の『命花』。


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少し早い夕飯を、雷鳴を聴きながら食べていた私。テーブルに置かれた購入したばかりのカメラは充電中。外は激しいほどの夕立。その雨音が激しくなったとたん、ゴロゴロ、ドスン!「あ落ちた」、思わず大声で、少し燥いだ声の私。遠い日の思い出は、やっぱり祖母と身を寄せた蚊帳の中。


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思えばずいぶん遠くに来たものです。「お母さん!もう少し待ててね!」母の遺影に呼びかける。昼間の重い空気が何故がよみがえる。あの緊張した時間、とても後味が悪い出来事。それは午後からの来客。信仰の篤い二人の女性が雨模様にもかかわらず、遠くから来てくださったのです、訪問の理由は、最近、立つ力も失せそうな私を心配しての訪問です。お二人は熱い仏教徒ですが、私の先祖へも祈ってくださいますが、同時に私にも毎日祈るようにと。


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お二人に導かれて数か月、しかし私にはその説法のある部分には、とても納得ができません。過去も現在も未来も、私の信ずる所は、池袋にある菩提寺。祖母に手を引かれ歩いたあのお寺。祖父母や父母、叔父叔母などが眠るお墓です。もともと文京区にあったお寺で、私が5歳の頃からの縁のあるお寺です。そのお寺には母の実家・親戚など、たくさんのご先祖が眠っています。法要やお寺の行事で聞くサンスクリット語でのお経は、幼心にも染み渡ったものでした。


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そして私の心の故郷は、祖母の実家のあった茨城県下妻市界隈。筑波山の麓、小貝川に向かって祖母と私があるいた夏休み。桑の葉と、もぎたてのトマト。祖母に手を引かれて歩いた田舎の道。煙の出るあの列車。祖母の故郷は下妻市大宝(だいほう)、そして祖母がよく言った「大宝まちとは」のまちとは大宝祭りのことでした。実家白井家は祖母が嫁いだ頃には、砂糖を商っていたそうです。祖母の笑顔が浮かびます。



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午後、庭の花たちと戯れた私。少し早い夕飯の支度と、部屋の戻ったその時、ゴロゴロ、次には耳をつんざくような雷鳴。ドカーンあっ!また雷鳴!。昔のような恐ろしさはありませんが…。やっぱり雷さん、今でも怖いです。そういえば、もっともっと凄い雷鳴を見聞きした事があります。このブログでも一何回かご紹介した28歳の頃の話にです。南十字星という歌にもあるような、星のきらめく素晴らしい夜空の町、インドネシアボゴールでの雷。夫の仕事に同行した28歳の私が経験した。怖いのに見たくなる凄い雷。


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夫の仕事の都合でインドネシアに着任して2日目の事です。赴任先ボゴールには見物したい場所がたくさんありましたが、赴任早々は、その後5年間を過ごす家探しです。しかし私は、母の病気で間もなく帰国。その為、思い出は多くはないのですが。現地について数日後のスコール。強烈な雨と、光と轟音が同時に起こる南の国の雷。怖いけれどその美しさに、こわごわ窓の内側から、私は見とれました。縦に線を描くように雷が、その音もダイナミックに。そういえば初日に車から見た、あの赤い花をつけた街路樹が、とてもエキゾチックだた事と、パサールで買ったランブータンと呼ばれていた甘いフルーツ。今でも思い出すことがあります。

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大宝の思い出も、ボゴールの思い出も今は夢の中。今夜はもう眠れそうにはありません。昨日から使い始めた新しいコンピューター、シルバー色のお洒落なコンピューター。今夜はこのまま眠らずに、朝靄の中で、平戸ツツジを眺めましょうか。午前3時の私、幸せ度100%。これが本当の私なのかもしれません。

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