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ローレライ [回想]

それは期末試験の日でした。当時通っていたのは文京区にある私立の女学校、その年の春に入学したての私は、背は小さく案外寡黙でした。その期末試験に音楽と言うのがあり高橋先生が担当でした。

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高橋先生の通常の授業ではコールユーブンゲンを使った練習と、クラシックを聴き作曲者を充てる問題や、使われている楽器を聞き分ける問題などでした。しかし期末試験は案外簡単で先生のピアノで一人づつ歌うテストでした。課題曲はローレライ。

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其の頃の私、身長は忘れましたが、クラスで一番小さかった気がします。さて肝心のテスト風景ですがピアノを弾く先生の側にたった小さな私、先生が弾くローレライを歌い始めたのですが、キーが高すぎて上手く歌えません。泣きそうになる私に先生がこう仰ったのです。「じゃあ、これでもう一度歌ってごらん」キーを下げたのです。周囲の生徒は驚きました。殆んどの人がそのままなのにと。

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こうして異例の扱いで私はローレライを歌い、先生は良くできたと、なんと通信簿には10を下さいました。その後、先生の勧めで同校の聖歌隊に入り学校音楽コンクールなどへも参加してきました。

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あの件がなければ、私はきっと一生歌を歌わなかったかも知れません。一方自宅へ帰れば母は歌謡曲はもとより小唄、端唄、都々逸、さのさ等の俗曲、さらに詩吟、民謡。これらのお稽古を私を相手にするのでした。社交ダンスも教えてくれたし日本舞踊のお稽古も二人で行きました。

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そんな家庭環境の私は学校音楽があまり好きではなかったのです。しかし高橋先生のお蔭でその後は女学生らしい音楽を沢山覚え沢山歌う事になります。あの時のローレライを歌えたことが今の私の道へと繋がった(かしら)。神様のお仕事に無駄はないですね。半世紀前の出来事は私の将来を見据えた故の一幕だったのでしょう。皆様はどうお考えですか?

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今日の写真は小江戸川越にある八幡神社で撮らせて頂きました。



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